EXHIBITIONS

スレイター・ブラッドレー「Perfect Empathy」

会期:2008年9月6日(土) – 10月4日(土)

写真はアイコン(ある種のものを象徴する像)を広く社会に表明させる。
スレイター・ブラッドレー

タカ・イシイギャラリーでは9月6日から10月4日まで、ニューヨークを拠点に活躍するスレイター・ブラッドレーの個展を開催致します。カリフォルニア生まれ、UCLAにて学んだブラッドレーは、近年、フランス・ハルス美術館(オランダ)、セント・ルイス現代美術館、UCバークレー美術館(バークレー)、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、キュレトリアル・スタディズ・センター美術館(ニューヨーク)などで幅広く国際的に展覧会を開催しています。

ブラッドレーは、初期の作品-『ドッペルゲンガー三部作』によって一躍注目を集めました。この作品は、作家自身の外見的イメージと、個人的興味を惹いたポップ/サブカルチャーのイメージにより構築されています。ブラッドレーは、若干30歳のときにグッゲンハイム美術館にて行った個展において最初のキャリアの頂点を迎えたといえます。『三部作』は、ブラッドレーが彼の共同制作者/ドッペルゲンガーであるベンジャミン・ブロックにブラッドレー自身を演じさせる一方で、ブラッドレーの分身となったブロックに悲運なセレブリティー(ジョイ・ディビジョンのイアン・カーティス、二ルバーナのカート・コバーン、マイケル・ジャクソン)を演じさせ、二重の変容を経た肖像を、映像や写真の作品として表現しています。近作においてこの変容は減り、ブラッドレーと肖像の距離は近づきます。

本展では、『Perfect Empathy』と題された15点のカラー写真作品を展示いたします。ヌード女性の写真から構成されているこのシリーズにおいて、ブラッドレーは、それぞれの写真の上に銀色のマーカーで部分的に塗装しています。これらの作品は、過去に撮りためたセレブリティーの写真に金色のマーカーで塗装したシリーズ作品「Golden」の後に、続いて制作されました。

「Golden」のシリーズにおいて、ブラッドレーは、彼の作品に関するステートメントを発表するために金色を使用しました。写真を金色にペイントし、ユニークにすることによって、ブラッドレーは作品の価値が 唯一無二であることを提示します。『Perfect Empathy』は、ブラッドレーの「セレブリティ」への考えとその現実についての変わらぬ関心を示しています。ブラッドレーの写真作品のすべてが自画像の形式をとっていますが、ドッペルゲンガーという概念から離れ、本作では自画像に回帰しています。

また、本作においては、観客がアイドルに対して持つ「同一意識」という概念を基に、モデルの女性たちはブラッドレー自身を体現します。そして、作家とモデルとの関係が公になったとき、彼とモデルとの関係性にどんな変化が起こるのかということについても、このシリーズでは追及しています。