EXHIBITIONS

マリオ・ガルシア・トレス 「La Paradoja del Esfuerzo」

会期: 2024年6月28日(金) – 7月27日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー(complex665)
オープニング・レセプション: 6月28日(金)17:00 – 19:00

タカ・イシイギャラリーは、メキシコシティを拠点に活動するコンセプチュアルアーティスト、マリオ・ガルシア・トレスの個展「La Paradoja del Esfuerzo」を開催いたします。この20年、ガルシア・トレスは、ビデオ、サウンドインスタレーション、絵画、彫刻、ドローイングなど、多様な媒体を通して、社会で一般的に想定されるアーティストの役割の硬直性を超え続けています。彼は1960〜70年代のコンセプチュアルアートと関連させながら、美術史と個性を探求しています。彼の作品は、詩的で物語的なアプローチをとり、美術史における未だ解明されていない空白に注意を喚起します。予期せぬ虚構と現実を並置し相互作用させることで記憶と理解における曖昧さを浮き彫りにし、私たちが今日直面しているより広範な問題に対する新たな考察を促します。

「La Paradoja del Esfuerzo(ラ・パラドハ・デル・エスフエルソ:努力のパラドックス)」は、ガルシア・トレスによる記念碑的作品であり、トナーを用いた平面作品をさらに発展させたものです。この絵画的なシリーズは数年かけて展開させたもので、キャンバスの上にトナー(通常はコピー機などに使われる微細な粒からなる粉粒体)を流し込んで作られます。再現不可能なアクシデントの直接的記録として、このシリーズは動きと周囲環境の関係を交渉し、粒子の漂流のわずかな変化を捉えています。

今回の22枚のキャンバスはタカ・イシイギャラリーに展示するために特別に制作されたもので、時間、反復、間違いや失敗に関連する考えの擁護など、作家のキャリアを通しての多くの関心を内包しています。これらのモノクローム作品は、時間に基づいた作品であるとも言えます。キャンバス表面の上から下へ、部屋の一方からまた一方へとトナーが進行するにつれて、物語が浮かび上がってきます。前のキャンバスに描かれたデザインをコピーしようとする努力がなされ、美的な力強さがあり、雰囲気あるいは再演やスピード感を暗示する作品を生み出しています。

このシリーズは、ガルシア・トレスが以前にも彼の作品を捧げてきたアーティストたちによる歴史的な作品群をさりげなく引用しています: ロバート・スミッソンが大地にアスファルトを流し、アリギエロ・ボエッティが雨をコピーし、そして今回のインスタレーションでは、アンディ・ウォーホルの『影』にも注目しています-本展の各キャンバスサイズはこの作品に呼応しています-。写真複写機はフィルムやスライド映写機と同様、廃れかけた技術でありますが、1960年代の登場直後からアーティストたちに取り入れられました。ガルシア・トレスはこれらの作品をモノクロームの絵画として捉え、その象徴的な素材から無機質な機械美学や安価な複製可能性との関連性を除外します。代わりに、素材の不安定な特性と機械以外での再現不可能性に焦点を当てるのです。

マリオ・ガルシア・トレスは1975年メキシコ、モンクローバ生まれ。2005年カリフォルニア芸術大学で修士号を取得。近年の個展に、モンテレイ現代美術館(2021年)、メキシコシティのMuseo Jumex(2020年)、ミネアポリスのWalker Art Center(2018年)、ブリュッセルのWIELS(2019年)、フォートワース近代美術館(2015年)、Pérez Art Museum Miami(2014年)、ダブリンのProject Arts Centre(2013年)、マドリードのソフィア王妃芸術センター(2010年)、アムステルダム市立美術館(2007年)などがある。また、マニフェスタ11(2016年)、第8回ベルリン・ビエンナーレ(2014年)、dOCUMENTA(2013)、カッセル(2012年)、サンパウロ・ビエンナーレ(2010年)、台北ビエンナーレ(2010年)、横浜トリエンナーレ(2008年)、ヴェネツィア・ビエンナーレ(2007年)など、数多くの国際展に参加している。

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